【 何故料理人になったのか?7 】


許してもらってから会話は増えましたけど
相変わらず容赦ない日々(これは僕目線、シェフは逆と思います)

ただ仕事が終わると、
「おい、飯行こか?」
「はい」
行くお店はいつも同じ和食屋さん。

シェフが通うくらいのお店でしたから何を頼んでも美味しかったですね。美味しい料理を食べながらお酒を嗜む。この頃の僕は殆どお酒が飲めなかったんですが、シェフはおもいっきり飲んでました。(笑) それでもお酒の弱い僕に一切強要する事なく自分のベースで楽しめば良いと。

30分前までは般若の顔で怒っていたシェフなのに、
お店を出ると一切怒る事なく仕事の話も皆無でした。

「お疲れ様でした」と挨拶をして帰宅。
翌日厨房では般若の顔したシェフ。
そのあと飯。

オンとオフの切り替えが自然と植えつけられて現在に至ります。

シェフが結婚されてからは度々ご自宅に招いて頂きました。
奥さまもとても料理がお上手で、
シェフから「お前遠慮なくおもいっきり食べるな」
と笑いながら毎回言われてましたね。
そんなある時、
「どれだけ怒ってもめげずについてきた」と誉めてくれたのですが、
「あんだけ怒られてめげないわけないでしょ?」と答えたら
おもいっきり笑ってました。
笑顔がとても素敵です。
もしかしたら普段強面の反動かも。
最近は中々お邪魔できませんけど
有り難いことに今でもお茶碗とお箸を置いてくれています。

僕の先輩達は、
今でも電話が鳴ると緊張するみたいですけど、
僕は冗談言えて会話の中で突っ込んでも許されてます。

シュシュのオープン時には手伝いにも来てくれまして
そのとき以来「親父」と呼んでます。

親父の下に付いたことで
とても幅広い視野が持てました。

長年付き合っていてあぁ、
認めてくれたかもと思えた瞬間は今でも忘れません。

続く

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