【 ビザ無しフランス修行 3 】


怒涛のごとく料理を出して掃除して初日は終了。 ちょうど一回り年下の日本人が一人働いていたんです。知り合いが以前ここで働いていたそうで、専門学校を卒業する時にいきなりフランスを勧められ興味本位で決めたそうです。僕も働く事が決まっていたので、他に日本人が居る事も知っていたのですが、フランス入りしたのは彼のほうが先、いざ来てみると一人ぼっちで一週間過ごしてたみたい。英語もフランス語も分からない、料理も分からない良くやっていたと関心しましたが、もったいない事に一ヶ月で帰国してしまいました。

毎朝9時から11時まで仕込みして1時間食事のあとにランチスタート、夕方5時から6時まで仕込みして1時間食事のあとにディナースタートで料理を全て出し終わると掃除をして終了です。パティシエは30分ずらして出勤してましたね。終わるのはお客様しだいですから結構遅かったように思います。

営業が始まっても野菜の下処理をひたすら行うという地味な仕事の毎日で、オーダーに参加させてもらえない日が続きました。加えて「肉やワイン・チーズはどこの国の物が1番だ?」とシェフが聞いてきます。「フランスだよ」と答えると、「そうだフランスは素晴らしいんだ」と得意顔。「分かっているから勉強しに来たよ」と言うと「それなら良い」と納得してましたけど扱いは酷いものでしたね。

賄いを食べるとき、パトロン家族は店内で食べ他のスタッフは厨房横のテラスでした。何も知らず適当に座ろうとすると、僕やポーランド人は奥のほうへ行けと手ではらわれます。

シェフに日本で「どんな事してる?」と聞かれ料理やソースの事を話しても「お前のしてることはフランス料理なんかじゃない!」と罵声を浴びせられる事もしばしば。まぁそんな事ぐらいではめげませんけど(笑)

ある日の朝、オードブルで使うフレッシュのサーモンが届いた朝、シェフが「賄いで寿司を作れ!」と僕に言ってきました。

これが転機に繋がりました。

続く

 

FH000037(1)FH000014(3)