【 ビザ無しフランス修行 6 】


シェフは、自宅からコックコートで出勤してたのでそのままの格好ですけど、僕の中でコックコートは神聖な物なので、仕事が出来ないくせに当初から厨房を出るときには脱いでました。

すばやく着替えシェフの車で隣村のバーへ。
バーといっても大衆バーで皆が楽しくワイワイしてます。

この当時の僕はタバコを吸っていてシェフも吸ってたんですね。
日本で1箱250円弱の頃フランスで380円くらいでした。
しきりにシェフがタバコを勧めます。身体には良くないけど、
タバコはとても高価なんです。自分で持ってると言ってもいいからこれを吸えと。日本で僕が後輩と食事肉時と同様、下の人間にはお金を払わせないのと同じだなと感じました。
僕が若かりし頃の先輩たちも同じ振る舞いで、
お前が上に立ったら払えと身を持って学びましたから。

ぶらぶら歩いていると、
全く知らない子がタバコくれと言ってくる事も日常でしたし。

このときの給料を皆に聞いてみたら、
10万円から12万円程、僕は11万円。
シェフは知りませんけど・・・

ここで料理について僕は辞書を片手にシェフと話し
始めの頃と同じ事を話しましたのにシェフは、
「お前はフランス料理を作っているんだな」
と言ってくれたのも嬉しい一言でした。
この時、日々の賄いが美味しくないけど普通なの?
と投げかけたら、あれは酷すぎるとシェフも言っていて、たまたまシェフが作る事になった賄いはお客様にだす料理同様とても美味しかった。

何回か隣村のバーで一緒に飲んだとき、
「ミツ、今度の休み食事においで!」
と誘ってくれたのは、
とても嬉しいけど足もなければ場所も分からない!

当日シェフが愛犬と迎えに来てくれました。
そしてお家で出迎えてくれた奥さんはセリーヌ・ディオンそっくりに綺麗な人で娘はまた可愛い双子。

シェフの手料理を堪能しました。

行きつけになったバーの店主が、
ビザさえない僕にびっくり発言!

続く