僕の年が分かると掃除をしていてもアレクシーが「お前は先輩だから俺がやる」としきりに言ってきましたが、仲間だからそんなことは関係無いと突っぱねてさっさと終わらせ休憩に入ります。そして買い物に行き両手に重い荷物をぶら下げて寮に戻る。中身は殆どビール。値段は安く330ミリ入りの缶で50円程度だったと思います。ただあっという間になくなるので、ラム酒を加えアルコール度数をグイっと上げてました(笑)
渡仏する前に先輩からどんなに小さな村にもバーとタバコやさんはあると聞かされていましたが、僕が生活している村にはありませんでした。移動するには徒歩が基本、スーパーは片道30分、郵便局へは1時間かかるんです。おかげで2時間くらいなら苦もなく歩くようになりました(笑) バス停を見つけましたが1日5本程度で流しのタクシーはゼロ、どれくらいの田舎かご想像できると思います。自由に動けるけど軽い軟禁状態。
ロケーションだけは抜群に良かったですね。周りには草が生い茂った緑色と真っ青な空のコントラストの綺麗なこと、天気の良い日にはジュネーブのレマン湖に吹き上がる噴水とモンブランも見ることが出来ましたし。牛もすぐ近くで生活していましたけど、夜中に鳴かれるとさすがに寝れない。
またお店には21才のコックが一人いて、彼が毎日2回の賄いを担当していたのですが、「味覚は大丈夫か?」と思うくらいにくそ不味い。肉も魚も焼くだけでソースがない。市販のラザニアとムール・フリットが唯一食べれたくらい。シェフも何も言わない。たまに見かねたアレクシーがソース作ってましたね。普段の仕事を見ていても向上心をあまり感じられなかったなーと。
僕が着ていたコックコートは胸元に名前が刺繍してあるにも関わらず、シェフはミツと呼びパトロンはイトウと呼ぶ。(以前イトウという日本人がいたらしい)おまけにポーランド人はシミザと呼ぶ。途中で諦めました。
ある日の夜、店でビールを飲んだあとシェフがミツバーに行こうと飲みに誘ってくれたんです!
続く
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